言語を身につけるのに一番早い方法は、その環境に身を置くことです。もしあなたが幼少期を英語圏で過ごした帰国子女なら、折角身につけた英語力をできれば維持したいと思うでしょう。
あるいは、帰国子女のお子さんを持つ保護者の方にとっても、お子さんが忘れてしまわないうちに、今の英語力を維持したり、伸ばしたりする方法には高い関心があるかと思います。
この記事では、帰国子女の方の悩みや英語力を維持・向上するおすすめの方法を、年齢別にまとめたので、参考にしてみてください。
帰国子女がネイティブレベルの英語を維持する方法・勉強法とは?
家族の海外勤務や海外留学により、海外で英語教育を受けるグローバルな日本人が、幼児から大学生まで幅広い年代で増えています。一方、帰国子女たちが日本に帰国後に直面する大きな悩みが「ネイティブレベルの英語をどうやって維持するか」です。
日本での生活は「日本語」が主体なので、日常生活で英語を使う機会はかなり限られます。そのため、日本に帰国して英語力の維持に不安を覚える帰国子女は決して少なくないです。
今回は帰国子女がネイティブレベルの英語を維持するために、年代別の悩みや解決方法を紐解いていきます。英語力を維持するための学習方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
幼児期・小学生の帰国子女が英語を維持する方法
「英語を学ぶなら早い方がいい」と言われるように、海外の生活環境に身を置くことで子供たちはスポンジのように英語を吸収します。
一方、日本に帰国し英語に触れる機会がなくなれば、英語をあっという間に忘れてしまいます。言語修得力が高い時期だからこそ実践してほしい、英語力を維持するのための効果的な5つの方法をご紹介します。
インターナショナルスクールや国際バカロレア校に通う
幼児期や小学生の帰国子女が、日本で英語の学習環境を維持するためにおすすめしたいのが、インターナショナルスクールや国際バカロレア校に通うことです。
インターナショナルスクールは主に日本で生活する外国籍の子供たちの教育機関で、海外の学校生活と変わらない環境で学習できます。授業は全て英語で行うため、英語力を維持するにはもってこいの環境です。
国際バカロレア校(IB:International Baccalaureate)は、世界共通の大学受験資格を得られる国際的な教育プログラムです。国際機関と連携しながら、学力だけでなくコミュニケーション能力や探求心などを伸ばせる、チャレンジに満ちた国際教育プログラムです。多国籍な環境で学習することで、英語の習得だけでなく国際感覚を養ういい機会となるでしょう。
英語学習のアフタースクール(英語学童)に通う
日本の教育を受けながら英語を使う環境を維持したい帰国子女には、英語を遊びながら学べる「アフタースクール(英語学童)」をおすすめします。
英語学童とは、絵を描く時間、スポーツをする時間、宿題をする時間、友達と遊ぶ時間など、全てが英語で行われます。丸ごと英語の環境に身を置くことで、遊びながら英語を身に付けられ、英語のコミュニケーション能力を高めることができます。カリキュラムや運営時間は英語学童によって異なりますが、週2~5日の選択や、夏休みなどの長期休みに利用できる学童もあるため、子供の学習ペースに合わせて選べます。
幼児~小学生向けのオンライン英会話を活用する
幼児から小学生向けにおすすめの「オンライン英会話3選」をご紹介します。
① グローバルステップアカデミー(GSA)
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主な料金 コース |
Basic:月額17,300円/週2回 Standard:月額24,500円/週3回 |
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講師国籍 | 外国人講師 | |
特徴 | ・スキルや興味に合わせた多様なコースを設置 ・国際基準に基づくELAプログラムに沿って英語 4技能をバランスよくを伸ばす ・無料の英語リソースで学習をサポート |
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公式サイトURL | https://www.gsacademy.com/ja |
Global Step Academyは、アメリカで実際に使用されているカリキュラムをベースに、本格的な授業をオンラインで提供しています。200名以上の多国籍な教師陣が在籍し、カリキュラムはStandard(初級)とAdvanced(中級)の2つのレベルに分かれ、基礎を固めて英語の4技能を鍛えられます。
② Novakid
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主な料金 コース |
プレミアム 8回:4週間、週2回 プレミアム24回:12週間、週2回 プレミアム48回:24週間、週2回 プレミアム96回:48週間、週2回 |
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講師国籍 | 外国人講師 | |
特徴 | ・ネイティブの発音、イントネーション、リズムが 身につく環境で楽しく学べる ・子どもへの指導に特化した経験豊富な講師陣 ・国際標準CEFRに基づくカリキュラム |
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公式サイトURL | https://www.novakid.jp/ |
Novakidは、4歳から12歳までを対象にし、「聞く・話す・読む・書く」の基礎をしっかり学べます。講師は全員外国人なため、ネイティブの「生きた英語」を多く聞くことにより、自然と英語の音が発音できるようになり、英語のコミュニケーション力を身に付けられます。
③ スモールワールド
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主な料金 コース |
400 pt=4,000円 (税込4,400円)〜 |
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講師国籍 | 日本人講師 一部、日本語が分かるネイティブ講師も在籍 |
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特徴 | ・好きな時に好きなだけ学べるポイント制 ・工夫を凝らしたレッスンプログラムが豊富 ・予約可能コマ数の上限や予約可能日の制限がない |
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公式サイトURL | https://www.sma-world.com/ |
スモールワールドは、英語の指導経験が豊富な日本人バイリンガル講師がメインなため、日本人が英語学習でつまづきやすいポイントや英文法をしっかり把握できます。日本語で指導してくれるため、英語が不得意な人にも理解しやすいのがメリットです。帰国子女向けのカリキュラムにも定評があります。
家庭教師をつける。個別指導スクールに通う
より質の高い英語教育を子供のペースに合わせて学習したい場合は、ネイティブやバイリンガルの講師がいる家庭教師や個別指導のスクールがおすすめです。
個別指導のスクールを選ぶことで、子供のレベルに合わせた専用の教材で学習でき、子供の個性を生かしながら学力の向上が期待できます。また、学習の日程調整が自由で、他の子に気を使わず学習できるため、自分に合う先生を選べたり、質問がしやすかったり、学習意欲につながるメリットが多いです。
家庭教師の場合は自宅で子供が落ち着いて学習できるため、親のサポートを受けながら親子で安心して学習できる環境が整えられます。
動画・音楽配信サービスを使って家の中でも英語に触れる
子供の英語力を維持したい場合はとにかく英語に触れる機会をたくさん作ることです。
そこでおすすめしたいのが、子供が興味を持ちそうな動画や音楽配信をくり返しBGMとしてかける「聞き流し学習」です。聞き流し学習は好きな時に好きな場所で学習でき、しかも無料で活用できる動画が多いのは嬉しいポイント。特にyoutubeでは子供向けの英語学習動画を多く配信しているので、英語の理解度に合わせて教材が選べます。日常的に英語を聞き流すことは、ネイティブの英語の発音や、生きた英語のフレーズを常に脳にインプットできるので、先ずは集中力が保てる短めの動画などを活用してみましょう。
中高生以上の帰国子女が英語を維持する方法
幼児期や小学生と比べて中学生以上の帰国子女は、英語学習次第では英語力を比較的維持しやすい年代です。ただし、英語を全く使用しない環境で英語力を維持するためには、かなりの努力が必要となるでしょう。せっかくマスターした英語力を維持し将来の選択肢を広げるために、おすすめしたい5つの学習方法をご紹介します。
帰国子女が多く、英語教育に力を入れた学校に通う
中高生以上で帰国した場合、学校の英語の授業が簡単すぎて、英語力の維持に不安を覚えたり、周囲が全く英語を話せないため、疎外感を感じることもあるようです。学校生活で英語力を維持するためは、帰国子女が多く、英語教育に力を入れている学校を選ぶことがおすすめです。
自分と同じ境遇の帰国子女が多いことで、友人も作りやすく、学校の環境に馴染みやすくなります。中には、留学生を受け入れている学校や、英語のクラスがレベル分けされている学校があり、よりハイレベルな英語教育を受けることができます。入学後の留学制度や、外国人教師による外国語教育に力を入れている学校を選ぶことで、モチベーションをキープでき、英語力を維持できるでしょう。
帰国前の友達と定期的に連絡をとり、英会話の機会を増やす
今ではインターネットがあれば、場所を選ばず世界の人たちと簡単につながれます。英語を使う機会を増やすために、海外生活で仲良くなった外国の友人たちと定期的にインターネットを通して連絡を取り合うことがおすすめ。会話を通して、ネイティブの発音やネイティブが使う旬の英語の言い回しをリアルにインプットでき、英語力の維持に役立ちます。同時に、海外のカルチャーや旬な話題の情報をリアルに体感できるので、モチベーションも保ちながら楽しく学習できます。
また、友人を通して海外の学校のコミュニティなどに参加することで、ネイティブと「聞く・話す」の英会話力を鍛えることにつながるでしょう。
定期的にTOEIC・英検などを受験して、モチベーションを維持する
英語学習でモチベーションをキープするために、定期的に自分の英語力を測定しゴールまでのギャップを埋めていくことです。そのために、定期的にTOEICテストや英検などを受験することをおすすめします。
TOEICテストや英検はリスニング力、語彙力、文法力、読解力、英会話力など、英語力を総合的に判断できるため、苦手な個所が明確になり、より学習しやすくなります。スコアをあげることで英語の理解度が測定できるので、モチベーションを維持しながら英語力のレベルアップが見込めるでしょう。
中高生向けの英会話スクールに通う
マンツーマンで英語学習ができる、中高生向けにおすすめの英会話スクール3選をご紹介します。
① Gaba
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主な料金 コース |
レギュラープラン/マンツーマンレッスン40分 月額コース:¥28,160(税込)~ 一括コース:¥279,675(税込)~ |
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講師国籍 | 外国人講師(英語ネイティブ圏が多い)、日本人講師 | |
特徴 | ・英語ネイティブの外国人講が多数在籍 ・日本人カウセラーによる学習サポート付き ・レッスン開始5分前まで対面とオンライン受講の切り替えが可能 |
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公式サイトURL | https://www.gaba.co.jp/u |
Gabaは世界70ヵ国以上の英語ネイティブの外国人講師とのマンツーマンレッスンが特徴。講師と1対1のレッスンなので、学習内容を自由に選べ、復習のための録音も可能です。レッスン開始5分前まで対面とオンライン受講の切り替えができるので、スケジュールをフレキシブルに調整しやすいのが特徴です。
② Berlitz(ベルリッツ)
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主な料金 コース |
オンライン英会話 中高生向け マンツーマンコース 月謝制:月額 17,600円/税込(月4回) 短期集中プログラム:総額 85,800円/税込(20レッスン) |
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講師国籍 | 多国籍(アメリカ、ヨーロッパ、アジア等) | |
特徴 | ・マンツーマン(or少人数)で希望に沿った授業が受講可能 ・ビジネスでも活かせるハイレベルな英語力習得が可能 ・多国籍でビジネス経験豊富な講師陣から様々な国の英会話を学べる |
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公式サイトURL | https://www.berlitz.com/ja-jp |
140年以上の実績がある教授法「ベルリッツ・メソッド」を実践し、厳しい審査をパスした経験豊富な講師陣が特徴。マンツーマンのレッスンは全て英語で行われ、結果がでるまで全てサポートするカリキュラムに定評があります。帰国子女向けのハイレベルなコースがあり、日常会話にとどまらず、将来学業や仕事でも活かせるハイレベルな英語力の習得ができます。
③ ECC外語学院
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主な料金 コース |
中上級者向け英会話コース:21,800円~ パワーイングリッシュコース:21,080円〜 |
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講師国籍 | 外国人講師、バイリンガル | |
特徴 | ・海外で厳選採用した大卒以上の講師陣による指導 ・ECC独自のELICITメソッドを採用 ・学びの継続を助ける徹底したサポート体制 |
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公式サイトURL | https://www.ecc.jp/ |
海外で厳選採用した大卒以上の外国人講師とバイリンガル講師により、「聞く・まねる・繰り返す・つくる・使う」という英語習得に必要なトレーニングを1回80分のレッスンで網羅しています。英語学習の目標達成を支援するカウンセリングや、受講生専用の会員サイト「My ECC」やワークショップなど、英語学習へのモチベーションが保てる仕組みが整っています。
サマーキャンプやウィンタースクールに参加する
インターナショナルスクールや各種教育機関では、夏休みや冬休みを利用した宿泊型のサマーキャンプやウィンタースクールを開催しています。参加する大きなメリットは、日本に居ながら一日中英語漬けの生活が送れることです。多様なバックグラウンドを持った世界中から集まった生徒たちと出会い、さまざまなアクティビティに参加し、寝食を共にすることで、グローバルな交流を体験できます。英語力を鍛えることはもちろん、普段自分が交流する以外の仲間と交流することで、インターナショナルな感覚を養う良い機会となります。
日本の大学に入学した帰国子女が英語を維持する方法
高校生まで海外で英語教育を受けた帰国子女の多くは、ネイティブに近い英語レベルを保持しています。しかし、日本の大学に入学してからも高い英語力を維持するには継続的に英語による講義を受講したり、大学の授業以外の自己学習が必要です。将来、英語力を生かしてグローバルに活躍するために、実践したい2つの学習方法をご紹介します。
英語の授業を多めに選択する
日本の大学で「グローバルに役立つ英語力を養いたい」という人には、海外の大学と提携した英語学位を実施している大学や、英語教育に力を入れている大学を選ぶことがおすすめです。授業の全てを英語で受講できる学部や、英語教育に特化した大学を選択することにより、英語力を生かす機会は格段に増え、多国籍の学生と一緒に学ぶことで、グローバルな感覚を身に付けることができます。また、海外の提携大学への留学制度や、インターンシップ制度が充実している大学も多く、将来グローバルに活躍できる人材育成に最適な環境と言えます。
料金の安いオンライン英会話を利用する
積極的に英語を話す機会をもつために、気軽に英会話が楽しめる「オンライン英会話」がおすすめです。マンツーマンのレッスンが受けられるおすすめの3選をご紹介します。
① レアジョブ
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主な料金 コース |
【日常英会話コース】 毎日25分:¥7,980/月(1レッスン ¥257) 毎日100分:¥21,480/月(1レッスン ¥173) 【ビジネス英会話コース】 毎日25分:¥12,980/月(1レッスン ¥419) |
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講師国籍 | フィリピン | |
特徴 | ・国際規格CEFRを導入して10段階にレベル分け、 レベルにあわせたレッスン内容や教材を選択出来る ・厳選された講師のみで構成(採用率わずか1%) ・低価格で英語が学べる |
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公式サイトURL | https://www.rarejob.com/ |
フィリピン大学出身者が中心の厳選された講師が6,000名、レッスン回数は5,000万回以上と、質の良いレッスンに定評があります。最小レッスン単価が25分/173円からとリーズナブルで、毎日のレッスンを無理なく続けられるのが魅力です。累計会員数は100万人を超え、イード・アワード2019「英会話スクール」オンライン英会話部門で最優秀賞に選ばれた実績があります。
② DMM英会話
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主な料金 コース |
スタンダード:月額6,480円 プラスネイティブ:月額16,590円 |
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講師国籍 | フィリピン人、日本人、ネイティブなど | |
特徴 |
・格安なのに質の良いレッスン |
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公式サイトURL | https://eikaiwa.dmm.com/ |
フィリピン人を中心に、世界134か国からの7000人以上の講師の授業が受けられ、日常的に使う言葉からビジネス英語まで幅広く学習することができます。レッスン専用システム「Eikaiwa Live」を活用してスマホやパソコン、タブレットから、どこからでも受講できます。
③ NativeCamp
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主な料金 コース |
プレミアムプラン:6,480円 |
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講師国籍 | 約120ヵ国(非ネイティブ含む) 別途ネイティブのみオプション有 |
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特徴 | ・4倍速で英語が身につくカランメソッド提携校 ・月額制でレッスン回数制限なし!回数多い程お得 ・独自キャンペーン豊富!お得に受講できる |
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公式サイトURL | https://nativecamp.net/ |
月額6,480円の低価格で、24時間365日、無制限でマンツーマン英会話のレッスンが受けられます。フィリピン人を中心に世界120ヵ国以上の講師のほか、ネイティブ講師や日本人講師が在籍。無料で使える教材は、基礎教材に加えてTOEIC対策からカランメソッド、ディスカッションやニュースなど豊富に揃っています。
帰国子女によくある悩み
帰国子女というと周囲からは羨ましく思われがちですが、帰国後の環境の変化や海外と日本の文化の違いにズレを感じ、学校生活になじめない、友達が作れないなど、悩みをかかえている帰国子女が多くいます。そこで、主な悩みの要因について、掘り下げて見てみましょう。
年齢共通。帰国子女によくある悩み
年齢に関係なく帰国子女がかかえる共通の悩みが2つあります。1つ目は、英語をほとんど使わない日本の生活環境でどうやって英語力を維持するかです。2つ目は、海外とは違う日本の教育システムにどう適応できるかです。いずれも、帰国子女ならではの悩みであり、実情を踏まえて詳しく見ていきましょう。
せっかく身に付いた英語力を維持できない
海外の学校や生活でせっかく英語を身に付けても、日本に帰国し英語を話す機会がなくなれば、英語は自然と忘れていきます。仮に、英会話スクールや家庭教師などで、英語の補填学習をしても、英語を聞く、話す頻度が減る生活で、英文法や言い回しがちぐはぐになってしまうこともあります。そんな中、「帰国子女だから英語ができて当然」という周囲からのプレッシャーがストレスになることがあるようです。
日本の学校になじめない
常に周囲との調和を大切にする日本文化と、個人を尊重する海外の文化との違いに、学校生活で戸惑いを感じる場面が多く、日本の学校生活になかなか馴染めないことはよくあります。例えば、厳しい校則や先輩との上下関係など、日本ならではの文化が存在しています。
海外では自分の意見をはっきり言う風習に対して、日本では自己主張が強いと反感をもたれやすく、友人や周囲との人間関係に悩むこともあるようです。
幼児期・小学生の帰国子女に共通する悩み
幼少期に海外で過ごした帰国子女に共通する悩みは、これまでに身に付けた習慣がいきなり180度違う習慣に変わることです。特に、英語中心だった生活や学習が、いきなり日本語中心になることは、子供にとってそう簡単なことではなく、身に付けた英語力は中途半端になってしまいがちです。特に悩んでいる、英語環境について詳しくことを見ていきましょう。
英語を話すのを嫌がる
周囲の子供たちの「帰国子女だから英語はペラペラなはず」という過度な期待感にさらされ、いきなり「英語で何かしゃべって」と言われたり、嫌な思いをした帰国子女は少なくないでしょう。
海外で自然に身についた英語の発音は、他のクラスメートとは明らかに異なり、周囲に英語を話す子供がいないため、それがきっかけでからかわれたりいじめの対象になることもあります。そのため、だんだんと人前で英語を話すのを嫌になっていくようです。
幼児英語しか身に付いていない為、将来使える英語ではない
幼児期に身に付けた英語は、身近な人の言葉を耳にしたり、周囲の子供たちと遊びながら覚えることが大半です。文法や読み書きの学習よりも、リスニングを中心の体験となるため、子供が使用する中途半端な語彙やフレーズ、子供用のメディアから学んだ幼稚な英語を身に付ける傾向にあります。そのため、受験やビジネスにつながらない英語力となってしまいます。
中高生の帰国子女に共通する悩み
中高生の帰国子女に共通する悩みは、日本の学校の風習になじむことができない、帰国子女ゆえに「英語ができて当然」という周囲からのプレッシャーを感じていることです。通常の公立学校では、帰国子女はマイノリティなため、理解者を見つけることが難しいのが現状。そのため、学校生活に不安をかかえている帰国子女は多くいます。
日本語のコミュニケーションに疲れる
海外である程度の年齢まで英語を主体に生活していた帰国子女の中には、日本語の語彙力が中途半端で日本語の会話がスムーズにできない、流行りの言葉やニュアンスが理解できない、などの悩みをかかえることがあります。また、日本語の曖昧な表現や湾曲的なコミュニケーションに違和感を覚え、自分の意見を主張することで、周囲と摩擦を起こし孤立してしまうケースがあるようです。
帰国子女ゆえのプレッシャー
「帰国子女は英語が話せて当然」という周囲からの空気感は強くあり、返って英語の授業や試験がプレッシャーに感じるようです。
仮に、英語が話せても語彙力や英文法が強いわけではありません。英語圏以外の国に滞在していたり、現地の日本人学校で日本語教育を受けていた場合は、海外にいながら英語がほとんど話せない事が多いです。海外で受けた教育の種類によって英語力に大きな差があるのは否めない現状です。
英語力維持・向上に必要な学習は?
帰国子女が英語力を維持するために、一般に英会話中心の学習が多いですが、英語による学力を伸ばすためには「読み・書き」を含めた学習が不可欠です。もちろん、英語を話す機会を作ることは大切ですが、英語が聞けて話せるだけでは将来的にビジネスで通用する英語力は身に付きません。英語力を維持しレベルを上げていくためには「話す、聞く、読む、書く」の4技能をバランスよく学習することがポイントです。
英会話より読み書き
「英会話ができる=英語ができる」と思われることがよくありますが、英会話では既に知識のある語彙やフレーズを使いまわすことが多く、新しい語彙力や文法力を知識として身に付けることはなかなか難しいです。そもそも、日常の英会話で難しい単語や文法を使うことはほとんどないため、英会話で英語力を上げるのには限界があるでしょう。
現状の英語を維持しレベルの高い英語力を身に付けるには、「読み」「書き」の学習を欠かすことができません。レベルに合わせて、英語の「読み」「書き」を段階的に学習して覚えていくことで、語彙力や文法力は確実に習得できます。
読書でどの年齢にもあった単語力・読解力が身に付く
帰国子女の英語力は海外滞在期間の長さではなく、読書量で決まります。
例えば、アメリカの小学校では読書の時間が必ずあり、子供の読書レベルに合わせて出てくる単語が制限されているため、子供に負担をかけずに語彙力や読解力を伸ばすことができます。このように、英語の読書を継続することで、英語力だけでなく英語圏の文化的な背景や知識を得られるため、海外の文化や価値観を客観的に理解できるようになります。読書による英語のインプットを増やすことで、単語力や読解力をしっかり身につけることにつながります。
帰国子女の英語力維持・向上に有効な方法まとめ
グローバル化が急速に進む社会では、国際共通語である英語によるコミュニケーションスキルの重要性は高まる一方です。レベルの高い英語力を習得することで、将来的にグローバルで活躍できる可能性を広げられます。ただし、英語を使う機会が少ない日本の環境で、帰国子女が海外で習得した英語を維持することは容易ではありません。
帰国後の英語力を維持するためには、「聞く、話す、読む、書く」の4つの英語技能を、継続して学習することが大切です。そのために、帰国子女に特化した英語コースや英会話スクールの受講や、英語学習ができるコミュニティへの参加など、英語に触れる機会をできるだけ多く作ることをおすすめします。